てんかんとは

リボンのイメージ写真

てんかんの方は全人口の約0.8%、日本には100万人程度いると言われ、稀な疾患ではありません。小児期と高齢者で初めての発作を起こすことが多いとされますが、何歳でも発症します(初めての発作を起こします)。小児期だけにてんかんがあった方、高齢になってからてんかんになった方など合わせると、日本では全人口の数%の方が、人生において一度はてんかんになると考えられています。
てんかんとは、脳の神経細胞が異常に興奮し、それが広がって、一時的にさまざまな症状「(てんかん)発作」を反復する疾患です。てんかんは、脳全体が一斉に異常な活動を起こしててんかん発作を起こす全般てんかんと脳の一部分が異常に活動し、それが引金となっててんかん発作が起こる焦点てんかんの大きく二つに分けられます。焦点てんかんでは、発作を起こす原因となる脳の場所を「てんかん焦点」と呼びます。

「てんかん発作」は、意識を失う発作やけいれん発作がてんかん発作というイメージが強いかもしれませんが、症状は人により様々で、いろいろなものがあります。代表的なものとして下記のような発作があります。

  • 1点を見つめたまま動作が止まり、反応しなくなる
  • 手、肩、足などがピクッと動く
  • 全身が硬直する
  • 突然体の力が抜けバタンと倒れる
  • 体の一部に異常な感覚がある
  • 意識がないまま、口をもぐもぐさせたり、歩き回ったりする

発作はいずれの場合もおおむね数秒から数分続き、5分以上続くことは稀です。

発達障害、知的な障害がある場合に、一般の方よりもてんかんを合併する割合は高くなります。また、てんかんの方では、様々な精神症状(うつ状態、不安、幻覚など)を認める割合が高いことも知られています。発作のみならず、こうした脳機能障害や精神症状のため、就労等に支障をきたすことがあり、てんかんと合わせて、福祉が必要になることがあります。

診察と診断

てんかんの診断は、通常は2回以上のてんかん発作がすでにおきていることと、脳波検査で症状を説明しうる所見があることが重要です。
一方で、脳波や脳画像検査の結果や、経過などによっては、1回の発作でもてんかんと診断することはありますし、何度脳波検査を行ってもてんかんの活動が記録されないてんかんの方もいます。当院では、患者さんごとに判断して、その時に最適と考えられる方針を決めていきます。

てんかんの方は、通常、発作時以外には、てんかんの症状がありません。診察室で発作を認めることは珍しいため、発作があった時の状況やどのような症状があったのかの確認を詳細に行います。これらをお伺いした後に複数の検査を行い、治療方針を決めていきます。
症状や脳波検査の結果から、まずてんかんかどうかの診断を行い、その次にてんかん分類(全般てんかんと焦点てんかんのどちらなのか)、てんかん症候群(より詳細なてんかんの分類)についての診断を可能な限り行います。目撃者からの発作の情報がない場合などには詳細な診断が困難なこともあり、患者さんやご家族など発作を目撃した方からの情報は、診断にとても重要です。