薬物治療

てんかん治療の原則は、抗てんかん薬による薬物治療です。正しく服薬することで6~7割ほどの方は発作が減少するか起こらなくなります。抗てんかん薬はいくつか種類がありますが、てんかんの発作のタイプ、てんかんになった原因、合併症、年齢、女性の場合は妊娠の可能性があるかなど、非常に多様な条件を考慮して選択します。
また薬が効いているからといってすぐに減薬、薬物治療の終了ができるわけではありません。少なくとも数年は発作のない状態を維持することが条件であり、それ以外にも脳波検査で以前見られていたてんかん性の異常が残っていないかといった検査結果や、患者さんの社会的背景(減薬後には一時的に自動車を運転しない期間をつくれるか、万が一発作が再発した場合に仕事や生活等への影響はどうかといったこと)も関わってきます。いずれの場合でも、薬の減量や中止には慎重な判断が求められます。

薬物以外の治療

適切な薬を正しく服用しても3割ほどの方は薬で発作が収まらない薬剤抵抗性てんかんとされ、その場合には外科的な治療を検討することがあります。発作が月数回以上ある方、発作による日常生活への支障が大きい場合は外科的治療を検討したほうがよいでしょう。
外科的治療には、発作が消失することを期待して行う「根治的外科治療」と、発作が小さくなる・発作が減ることを期待して行う「緩和的外科治療」があります。
例えば、代表的な根治的外科治療である内側側頭葉てんかんの方の手術では、術後におよそ8割の方で発作が消失します。
手術が勧められるかどうかは様々な要件を考慮する必要があります。発作が抑えられるかどうかはもちろんですが、手術しない場合に予想される経過、薬の副作用、さらに患者さんの社会的背景、手術の合併症のリスクなど総合的に判断し、デメリットよりもメリットが上回ると考えられる場合になります。「根治的外科治療」も「緩和的外科治療」も、様々な検査を行った結果をみて、手術が受けられるか、期待できること、メリット・デメリットを判断します。
てんかんの外科的な治療について、一度検討したほうがいいと思われる場合には医師からお声がけしていますが、お声がけがなくても、一度話を聞いてみたいという場合には、ぜひご相談ください。
※当院では外科的治療を行っておりません。お一人お一人に合わせて、より適切な医療が提供できると考えられる、連携しているてんかんセンター・医療機関をご紹介しています。
※食事療法は主に小児で行われており、大人のてんかんの方では一般的ではありません。